感染管理とサーベイランス


医療の現場では、『EBM(evidence based medicine)』⇒『根拠にもとづいた医療』が中心となっています。

院内感染対策もEBMに基づいて感染管理をすれば、確実に感染率は低下していきます。

現在行っている感染対策は費用が多くかかっており、EBMにより感染対策を見直していくことが結果として、消毒薬の見直し、作業の見直しによる人件費の低下などのコスト削減にもつながっていくことがあります。

サーベイランスとは

サーベイランスとは、「調査する、測定する」という意味がある。
感染管理のためのサーベイランスとは、院内感染の発生状況(感染率)を把握し、その評価を今後の感染対策活動に活用していくことです。
特定の疾患やイベント(出来事)についての発生分布や原因に関するデータを『収集・統合・分析する』組織的な手法と定義づけられています。

サーベイランスの目的

  • 院内感染を発見する
  • 院内感染の標準値・感染率を知る
  • 収集したデータから問題を見つけ感染予防の方針を決める
  • 感染予防活動に利用する(職員教育、調査内容・役割を明確にする
  • 感染予防活動の評価をする

サーベイランスには、データを集めるだけではなく、感染予防対策の方針を決めたり、感染予防策を評価する目的があります。


サーベイランスの種類について

サーベイランスには、いくつかの種類があります。サーベイランスは感染率を出すので、何を指標とするのかをきっちりと考えていくことが重要です。

①包括的サーベイランス

・包括的サーベイランスは、入院患者全員を対象とし、院内で発生したすべての感染を調査します。
どこで何が起こっているか病院全体を把握することができ、アウトブレイクを早期に発見できます。また母数が大きいので多くの時間と費用が必要になる場合があります。

②断続的サーベイランス

・断続的サーベイランスの対象は包括的サーベイランスを同じです。3ヶ月に1回や、3か月ごとに実施する期間としない期間を設けて行ったり等、期間を設定し、断続的に調査を続けていきます。包括的サーベイランスよりも時間がかからないが、実施していない期間の問題を見落とすこともあります。

③ターゲット的サーベイランス

ターゲット的サーベイランスとは、部署・医療器具・医療処置・病原体など、特定のターゲットに対して行うサーベイランスです。焦点を絞って、集中的に行うことでその部署や物事による感染率の低下につなげることを目的としています。
特定のことに絞るので費用対効果など、効果が表れやすい。

④微生物検査データに基づくサーベイランス

院内で定期的に検査している微生物検査データを経時的にプロットして、その変化からアウトブレイクを察知するサーベイランスです。検査結果が基準値(通常の菌検出率)を超えている場合はアウトブレイクが疑われ、そうした際に細部まで調査します。コンピュータでの処理が可能なため人件費を多く必要としません。

⑤目的別サーベイランス

目的別サーベイランスは、現在流行している感染症の症例数の減少を目的に行う。長所は、目的が決まっているので時間を効率よく使用できることです。特別な組織やチームを必要とすることがあります。


サーベイランスの計算方法

サーベイランスの分母のとらえ方には以下の3つがあります。

  • 患者数
  • 延べ患者数(在室日数を考慮する)
  • 延べ医療器具数

患者数とは、月初めの『1日にいた在室患者数』+『入室患者数』の合計です。
延べ患者数とは、その月の初めから末日までの在室患者数の毎日の合計を言います。
患者数では、在室日数が考慮されないので、感染率が高いからと言って感染対策管理問題があったとはいえません。

サーベイランスの分子は、『感染ありと判断された患者数』となります。感染症の患者を数えるためには、『判断基準』が必要になってきます。診断する人によって見方や感染の基準が異なるとデータとして評価できなくなります。他施設などとの比較も行えるように疾病予防センター(CDC)の基準を参考にするとよいです。